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国道136号 伊豆中央道◎江間立体交差完成記念座談会

静岡県と静岡県道路公社が整備を進めてきた国道136号伊豆中央道江間改築事業が完成し、7月9日午前11時に供用を開始した。東京五輪会場へのアクセス道路として江間交差点の立体交差化と、江間インターチェンジをフルインター化させた事業で、最盛期には複数の工事が同時進行で行われた。メイン工事の全てを三島建設業協会の会員企業が施行を担当し、輻輳する工事の中で綿密な打ち合わせを行いながら、余裕のない厳しい工程を乗り越え、無事故無災害で完成させた。そこで今回の開通を祝い、発注者と施行者代表に出席いただき、事業の概要や工事の特徴などビックプロジェクトを振り返ってもらった。
(司会は広報委員会委員長=山本裕二)

座談会出席者
・静岡県沼津土木事務所 所 長 原  広司氏
・静岡県沼津土木事務所 工事2課長 髙山博之氏
・静岡県道路公社東部管理センター
建設管理課主幹 高岡 俊道氏
・伊豆の国市役所 都市整備部長 守野 充義氏
・一般社団法人三島建設業協会 会長 小野 徹氏
・一般社団法人三島建設業協会
副会長兼土木・災害対策委員長 土屋龍太郎氏
・加和太建設株式会社 土木部部長 天野謙一郎氏
・駿豆建設 株式会社 土木担当課長 落合 孝氏
・中林建設 株式会社 土木事業部第1課主任 長谷川直紀氏
・山本建設 株式会社 土木部主任  芹沢  剛氏 (順不同)

〈司会〉
一般社団法人三島建設業協会 広報委員会委員長 山本 裕二氏


語り継ごう 三建の誇るべき成果を

 司会 お忙しい中、原所長様はじめ皆さまに「国道136号伊豆中央道江間立体交差完成」座談会に参加いただきありがとうございます。残念ながら東京五輪はコロナの影響で延期になりましたが、当初の予定通りに東京五輪会場へのアクセス道路が無事に完成したことはなによりです。本日は完成までの道のりを語っていただき、今回の開通が地域の活性化に寄与することを期待したいと思います。開会に当たり小野会長からあいさつをお願いします。

小野 徹 会長

小野 今回の改築事業は当協会管内では近年にない大プロジェクトで、業界だけでなく、地域にとっても期待の大きい土木事業でした。尋常でない軟弱基盤の中で、協会員が中心になって工事を無事に完遂させたことは、三建の「協調」の精神が大いに生かされたと思います。本日は関係者の皆さまの生の声を直接お聞かせいただき、三建の誇りとして、工事の実績を歴史ある「三建だより」に残し、後世に伝えたいと思います。

司会 まずは無事に工事が完成した今の率直な気持ちを発注者の皆さまにお願いします。

原 広司氏

 もともと立体化の計画はありましたが、オリンピック開催が決まってから、2020年に間に合わせるために工程を詰めに詰め、本庁で意志決定した上で予算を確保しました。ほぼ全ての工事を三建の会員の皆さまに施工していただきましたが、本当に厳しい工程の中で苦労を掛けたと思います。また、設計段階から分かっていましたが、江間地区は非常に軟弱地盤でした。皆さまには確実な工事をしていただき感謝しています。用地交渉に協力していただいた地域の皆さまや伊豆の国市にも感謝申し上げます。

髙山 博之氏

髙山 13~15年の沼津土木事務所企画検査課在籍中に江間立体化の話がありました。有料道路の中央に信号があることによって、活性化の妨げになっていることを解消する江間改築は、伊豆半島全体の話に関わることでした。オリンピックに間に合わせる以前の話では、工事期間はまだ余裕があったと思います。厳しい工程にもかかわらず、無事故で工事を完成させた皆さまのすごいパワーを今は感じています。

確実な工事と安全施工に感謝

高岡 俊道氏

高岡 公社の工事は16年度に着手しました。三建の皆さまには主要な工事に関わっていただき、2週間に一度、工程を調整し互いに情報を共有しました。苦情もなく、無事故で無事に工程通り進んだことに感謝しています。もともとの工期は21年秋でしたが、1年短縮し完成に至りました。現場の皆さまの努力が工期短縮につながったと思います。また、用地交渉がスムーズにいったことも大きな要因だったと思います。

司会 用地交渉に骨を折った伊豆の国市としては、今回の完成をどのように捉えていますか。

守野 充義氏

守野 ワークショップや住民説明会での意見を事業に反映させていただいたり、年1回開かれる地元の江間地区役員会に土木事務所と公社が参加し、逐一進捗状況を説明していただいたりしたことで、住民の理解度が高まりました。また、施工者の皆さまと共同で交通安全対策に取り組むとともに、工事連絡調整協議会を開き対策を講じたことで住民の苦情も最小限にとどまりました。江間改築事業の完成で利便性が高まりますので、市としても経済効果に期待しています。

副会長兼
土木・災害対策委員長
土屋龍太郎氏

土屋 工事連絡調整協議会というキーワードが出ましたが、協会の連絡協議会は過去にも大型工事で実績があります。目的工程調整、安全対策、対外対策などです。工事期間に出前講座や土木の日のイベントなど、単体企業ではなかなかできないことを実施しました。今回の施行者メンバーがいたからこそ、このような対外的な行事ができました。ドローンで人文字を撮影したり、子どもたちが杭に絵を描いたりしてかなり好評を得ました。

司会 それでは各施工者から工事の特徴や現場での苦労話などをお願いします。

芹沢 剛氏

芹沢 私は公社発注の北山オンランプ橋の橋台と本線の舗装工事を担当しました。橋台では合計49本の鋼管杭を打ちましたが、その中で1本だけ推定の支持層に届かず、継ぎ足し杭を打設しました。この箇所だけスポット的に支持層が抜けており、非常に面白い地層だと感じました。舗装工事は本来であれば料金所から南下して一気に仕上げたかったのですが、開通まで時間が限られていたため、できるところから工事を進めました。そうすると、仕上がった表層の上を車両が通ることになるので、ベニヤを張り巡らせて養生しながら施工しました。

落合 孝氏

落合 私は公社発注の北山オフランプ橋の橋台を担当しました。また、今は東側側道の工事を担当しています。橋台の杭は口径800ミリ、延長43メートルで8本打ちました。支持層に到達できるように事前にボーリング調査を実施しました。連絡調整協議会は毎月2回開催していましたが、私は工事着手前から参加させてもらいました。協議会では、各施工者が開通式に間に合わせるために、綿密な打ち合わせで役割分担を話し合って決めていました。

長谷川直紀氏

長谷川 私の現場では本線の地盤改良を行ないましたが、セメントを多量に扱うので環境に配慮し飛散防止に注意しました。大型車両の移動では音ではなく目で見て分かるようにパトランプを点灯させ、振動がないように最徐行で移動させました。施工順序も当初より変更し、道路側と田んぼ側の両方から杭を打ち、地盤の変位を中側に移すように工夫しました。片側から施工するほうが車両の移動が少なく施工も容易ですが、あえて両側から進めました。

天野謙一郎氏

天野 5件の工事を当社で担当し、いちご狩りセンター前の法面やランプ法面の掘削、橋台の補強壁などを施工しました。急傾斜の法面の伐採では、現道の交通があるため落石は絶対に許されない状況でした。夜間工事や防護柵設置などで対応しましたが、伐採は現地の状況を見極めながら進めました。法面掘削では当社初のICT工事となり、時間帯でGPS精度の誤差が生じていることに気が付き、誤差が少ない時間帯を見つけ精度を保ちました。急傾斜での工事はいろいろな苦労もありましたが、会社の技術力を向上させた工事になりました。

司会 現場の生の声を聞き、発注者として感じたことをお願いします。

  過去の工事の経験を踏まえた上でのことだと思いますが、落合さんの現場でチェックボーリングをやっていただいたということですね。急な山付近では四隅で支持層の深さが違うということもあるので、非常にありがたいことです。天野さんで切られた地層断面は、マスコミで話題になったこともあり、関係者との対応に感謝しています。また、表層の保存やデジタル記録を取ってジオパークに寄贈していただいたことにも感謝しています。

髙山 現道が真横を通っているにもかかわらず、これだけ多くの会社が現場に入り、工程通りに工事を進めたことは素晴らしいことです。願っていた無事故での完成もかない今は感謝しかないです。

高岡 公社の事業は通常バイパス整備ですが、今回は現道改良であり、道路利用者は一秒でも早く通過したいところです。工事では渋滞がないようにしていただき、規制が生じる工事は夜間に行ったりしていただきました。皆さまの話を聞き現場対応力と技術力の高さを改めて実感しました。

〈司会〉
山本 裕二 広報委員長

司会 事業効果はどうでしょう。

 伊豆縦貫自動車道路の一部完成や天城北道路の完成などにより利便性が高まり、関東方面からの観光客も増え続けた結果、江間交差点は渋滞が激しくなりました。事業費はフルインター化と立体化を合わせて約61億円で、内訳は公社の有料道路事業費が約16億円、県交付金事業費が約31億円、県五輪アクセス事業費が約14億円です。これだけの金額を短期間で投入する事業はなかなかありませんが、事業の効果はとても大きくて、間違いなく従来の渋滞は緩和されます。普段の通勤時はもとより、休日の観光利用者にも大きな影響があります。17年の事業評価によると、B/Cは6.4と出ています。1.0を越えれば「効果あり」になり、伊豆半島全体に及ぼす効果は絶大になります。

守野 立体交差化とフルインター化は間違いなく地域に恩恵をもたらすでしょう。本来なら今年のオリンピック開催をにらんで進めていた事業でしたが、コロナで延期になったことは残念です。しかし、22年大河ドラマで北条義時がクローズアップされると、伊豆の国市を訪れる観光客も増えることになり、今回の事業が貢献することでしょう。また、江間近隣での工場誘致などにも期待が持てます。

高岡 事業効果の話ではないのですが、通行時に注意してほしいことがあります。下田側から来る場合、インターで降りないと料金所に直行してしまいます。今後、「直進有料」の看板を立てて周知に努めていく予定です。

協調が生んだ奇跡の土木事業

司会 今回の事業で言い残したことや、これからの建設業などについて最後に施工者の皆さまから一言ずつお願いします。

土屋 コロナで離職した人たちに、建設業では間口を広げて受け入れていることをアピールしたいですね。

芹沢 作業員の方は日給で雇用されているので、週休2日制の工事は難しい面があると思いますが、今後賃金アップや日給制が改善されれば対応できると思います

落合 開通式に切り回しで協力した作業員全員の記念写真を撮ってほしかったですね。

長谷川 今回の現場は新入社員3人を育成したり、インターンシップを受け入れたりすることができた現場でした。
天野 若い社員が現場代理人としての醍醐味を感じながら仕事ができる環境を整えることで、離職を防ぎ、企業の人材育成の底上げにつながると思います。

司会 ありがとうございました。皆さまのお話をお伺いし、改めて非常に厳しい条件下での工事であったことを認識しました。また三建の伝統でもある「団結力」がうまく生かされ、無事故無災害での完成につながったのではないかとも感じました。それでは、小野会長より総括をお願いします。

小野 今回のモニュメント的大プロジェクト工事は皆さまの力によって成し遂げられ、後世まで長く残っていくものと思います。三建の会員同士の「協調」で出来上がった「奇跡」の土木事業でありました。短期間で用地買収を行い、皆さまの高い技術力で軟弱地盤の改良も順調に進んだ事業でありました。引き続き、このような大事業に携わることのできる機会があることを願い謝辞とします。本日はありがとうございました。


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